歯の挺出とは?対合歯を失うと起こる問題を解説
2026/07/20
こんにちは、国立駅徒歩3分の歯医者、国立深澤歯科クリニックです。
挺出(ていしゅつ)とは、噛み合う歯を失った歯が、少しずつ伸びてくる現象です。
今回は、歯の挺出のメカニズムや、それによって生じる問題、治療法などを解説します。
歯の挺出とは
挺出は、歯が本来の位置から噛み合わせの面に向かって移動する現象を指します。
歯が伸びてくるように見えることから、「歯が伸びる」と表現されることもあります。
移動の速度は個人差が大きく、数か月で明らかな変化が見られる場合もあれば、数年かけてゆっくりと進行する場合もあります。
対合歯を失った場合によく起こりますが、噛み合う力が不均等な場合や、長期間使用していない歯でも発生することがあります。
歯の位置が保たれているワケ
歯の位置は、上下の歯が噛み合う際の咬合力など、複数の力によって保たれています。
隣接する歯同士の接触や、頬や舌からの圧力、歯と骨の間にある歯根膜の働きなども、歯の位置の保持に関係しています。
挺出が起こる理由
対合歯を失い、噛み合う力がなくなると、歯根膜の持つ弾性や、歯が萌出しようとする生理的な力によって、歯が少しずつ移動を始めます。
咀嚼の際に過剰な力がかかることも、挺出を促進する要因となります。
挺出によって起こる問題
噛み合わせの異常
歯の挺出によって直接的に影響を受けるのが、噛み合わせです。
本来の咬合面から突出した歯は、口を閉じた際に対面の歯ぐきや顎堤に接触するようになります。
その結果、他の歯が正常に噛み合うことを阻害するリスクもあります。
対合部位の歯肉損傷
噛み合う歯を失ってもう片方の歯が挺出した場合、伸びてきた歯が歯肉に接触することで、歯肉に潰瘍や炎症が生じ、痛みや出血を引き起こすことがあります。
このような慢性的な刺激が続くことで、組織の変性や肥厚を引き起こすリスクもあります。
挺出した歯の歯周病リスク
歯の挺出が進行すると、歯を支える骨から歯根が露出した状態になるため、骨による支持が弱まり、歯周病が悪化しやすくなります。
突出した歯は不安定で動揺しやすくなるため、残っている他の部位で咀嚼した際でも、挺出した歯に不自然な力が加わりやすく、歯周組織へダメージを与える原因となります。
虫歯のリスク増加
挺出によって歯根の一部が露出すると、虫歯のリスクが高まります。
これは、歯根の表面はエナメル質で覆われておらず、虫歯のリスクが高いためです。
また、挺出した歯が歯並びを崩すことで、歯ブラシが届きにくい部分が増えることも、虫歯が発生しやすくなる要因です。
顎関節への影響
挺出によって早期接触がある場合、あごを閉じる際に本来の位置とは異なる位置で噛み合うことになり、顎関節に不自然な力がかかります。
これが長期間続くと、顎関節症の原因となることがあります。
隣接歯の傾斜
歯の挺出と同時に起こりやすいのが、失った歯の隣の歯が欠損部位に向かって傾いてくる現象です。
隣接歯が傾斜すると、歯と歯の間に隙間ができたり、逆に詰まったりして、歯磨きが困難になります。
挺出の治療法
挺出した歯の削合
削る量は挺出の程度によって異なりますが、わずかな挺出であれば、エナメル質の範囲内で調整できることもあります。
しかし、挺出が進行している場合は、象牙質まで削る必要があり、知覚過敏のリスクがあります。
矯正的挺出の抑制
挺出が進行している状態の場合、矯正治療によって歯を元の位置に戻す方法もあります。
ワイヤーやゴムなどの矯正装置を使用して、挺出した歯に力を加えて元の位置に押し戻します。
この方法は、歯を削らずに済むという利点がありますが、治療期間が数か月から1年程度かかります。
また、すべての症例に適用できるわけではなく、挺出の程度が軽度から中等度の場合に限られます。
抜歯と補綴
挺出が進行し、歯周病も併発している場合や、根管治療が困難な場合は、挺出した歯を抜歯することもあります。
抜歯後は、失った歯と合わせて、ブリッジやインプラント、入れ歯などの補綴治療を行います。
欠損部の補綴治療
挺出の治療と同時に、失った歯を補う治療も必要です。
補綴方法には、インプラント、ブリッジ、部分入れ歯などがあります。
どの方法を選択するかは、患者さんの年齢やご希望、全身状態、経済的な条件、隣接歯の状態などによって決定されます。
挺出の予防方法
失った歯を速やかに補う
歯の挺出を防ぐためには、失った歯を放置せずに補綴治療を受けることが大切です。
抜歯後、できるだけ早期に、インプラントやブリッジ、入れ歯などで欠損部を補えば、対合歯の挺出を防ぐことができます。
経済的な理由や全身状態などですぐに補綴治療ができない場合でも、定期的に歯科医院を受診し、挺出の進行状況を確認しておくようにしましょう。
定期的な歯科検診
定期的に歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病を早期に発見・治療し、歯を失うリスクを減らすことができます。
虫歯や歯周病のリスクが高い場合は1、2か月に一度、そうでない場合には口内環境に合わせて3か月から6か月に1回程度の頻度で検診を受けるようにしましょう。
咬合管理
歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖は、歯に過度な負担をかけ、破折や摩耗の原因となります。
これらの習慣がある場合は、マウスピースの使用などの対策を講じるようにしましょう。
また、噛み合わせの崩れや咬合干渉がある場合は、早期に対処しておくことが大切です。
必要に応じて咬合調整を受けることで、歯の喪失や挺出のリスクを減らすことができます。
まとめ
歯の挺出は、噛み合う対合歯を失った歯が、伸びるように移動する現象です。
噛み合わせの崩れ、対合部位の歯肉損傷、歯周病や虫歯のリスク増加、顎関節への影響、審美的な問題など、さまざまな問題が生じます。
治療法としては、挺出した歯の削合、矯正治療、抜歯と補綴、欠損部の補綴治療などがあり、挺出の程度や患者さんのご希望・状態に応じて選択されます。
挺出が進行すると治療が複雑化するため、早期発見と早期治療が重要です。
定期的な歯科検診、日々の丁寧なオーラルケア、全身の健康管理などによって歯を失わないようにし、もしも歯を失った場合は早めに補綴治療を受けるようにしましょう。
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