熱いものが歯にしみるのはなぜ?痛みの原因や対処法を解説
2025/08/20

こんにちは、国立駅徒歩3分の歯医者、国立深澤歯科クリニックです。
冷たいものだけでなく、実は「熱いもの」でも歯がしみることがあります。
熱い飲み物を飲んだときなどにズキッとした痛みを感じたことがある方もいるのではないでしょうか。
今回は、なぜ熱いもので歯がしみるのか、その原因や対処法について解説します。
熱いもので歯がしみる症状の特徴

熱いもので歯がしみる場合に見られる共通した症状として、ズキズキとした鋭い痛みが挙げられます。
冷たいものにしみる時のような「一瞬の刺激」ではなく、じわじわと痛みが続くこともあります。
痛みの感じ方は人それぞれですが、違和感のある歯だけでなく、周囲の歯やあごにまで影響が広がる場合もあります。
症状は日によって強弱があることもありますが、体調や疲労などにより一時的に悪化するケースも見られます。
夜になると痛みが強くなることも少なくありません。
痛みがあることで、食事がしづらくなるなど、日常生活に支障が出ることもあります。
熱いもので歯がしみる主な原因
虫歯の進行による痛み
初期から中等度の虫歯では「熱いものがしみる」という症状が現れることがあります。
これは、歯の表面を覆っているエナメル質が虫歯によって溶かされ、その下にある象牙質が外部にさらされることが原因です。
象牙質は神経に近く、温度の変化にとても敏感です。熱の刺激がダイレクトに神経へ伝わってしまうため、痛みが出やすくなります。
歯周病による歯ぐきの後退
歯周病が進行すると、歯ぐきが徐々に下がっていく「歯肉退縮」が起こることがあります。
この状態になると、本来歯ぐきに隠れていた歯の根元が表に出て象牙質が露出することで、痛みや違和感を生じやすくなります。
知覚過敏による一時的な痛み
知覚過敏は、歯の表面を守るエナメル質がすり減ったり、細かいひびが入ったりすることで、象牙質が外部刺激に反応しやすくなった状態です。
冷たいものでしみるイメージが強いかもしれませんが、熱い飲食物でもしみることがあります。
歯髄炎による神経の炎症
歯の内部には血管や神経が集まった「歯髄」という組織があり、この歯髄に炎症が起こる「歯髄炎」になると、熱いものに対して痛みを示すことがあります。
歯髄炎は、虫歯が神経に近づくほど進行した場合や、外傷や歯のヒビが原因で細菌が入り込んだ場合などに起こります。
初期には熱いものにしみる程度ですが、次第に強い痛みに変わり、夜も眠れないような激しい痛みを感じることもあります。
この段階に達すると、神経を取る根管治療が必要になることが多くなります。
金属のかぶせ物による熱伝導
銀歯など金属製の詰め物やかぶせ物は、熱を通しやすい性質を持っているため、飲食時の温度変化が内部の神経にまで伝わりやすくなります。
これは必ずしもかぶせ物の不具合というわけではありませんが、症状が続く場合は、素材の見直しや調整を検討する必要があります。
根管治療後の再感染や違和感
歯の内部にある根管という部分に感染が及んだ場合、根管治療によって神経や汚染された組織を除去し、内部を消毒して密封する処置が行われます。
しかし、根管の構造は複雑で、完全に清掃しきれないこともあり、わずかに残った細菌が再び炎症を起こす場合があります。
再治療や外科的な処置が必要になることもあるため、放置せずに早めの診断を受けることが大切です。
痛みの原因を見極めるための検査

熱いもので歯がしみる症状がある場合、まずは歯科医院での診察が欠かせません。
歯の状態を確認するために、レントゲン検査や視診、歯髄の反応を見る温度診などが行われます。
当院では、必要に応じて歯科用CTによる立体映像(3D)撮影も行っています。
また、歯周病の進行状況や歯の根の状態を確認するため、歯周ポケットの深さを測ることもあります。
対処法と治療の選択肢
虫歯
虫歯が原因であれば、虫歯を削って詰め物をする治療や、神経を取る根管治療を行うことになります。
神経がすでに死んでしまっている場合でも、痛みが残ることがあるため、慎重な経過観察が必要です。
歯周病
歯周病が原因の場合は、歯石の除去や歯周ポケットのクリーニングなど、歯周病治療を行います。
合わせて、毎日の歯磨き方法や生活習慣の見直しも必要です。
知覚過敏
知覚過敏の症状を軽減するためには、まず原因となる生活習慣の見直しが重要です。
強すぎる力での歯磨きはエナメル質を摩耗させる大きな原因のひとつですので、やわらかめの歯ブラシを使い、力を入れすぎずに優しく磨くように心がけましょう。
また、歯ぎしりや食いしばりがある方は、就寝時にマウスピースを装着することで、歯への負担を軽減できます。
さらに、市販されている知覚過敏用の歯磨き粉も症状緩和につながります。
これらの歯磨き粉には、刺激を伝える神経の働きを緩和する成分や、歯の表面を保護する成分が含まれており、継続して使用することで徐々に症状が和らぐことがあります。
歯髄炎
歯髄の炎症が進行してしまった場合、多くは根管治療が必要になります。
ただし、歯髄炎を初期の段階で発見できれば、神経を残したまま経過観察で済むこともあるため、痛みを我慢せずに早めの対応を心がけましょう。
金属のかぶせ物
金属製のかぶせ物によって熱いものがしみる場合、症状が軽度であれば様子を見ることもありますが、違和感が続くようであれば一度歯科医院に相談しましょう。
必要に応じて、かぶせ物の下の状態を確認したり、神経に影響が出ていないかをチェックしたりします。
また、熱伝導の影響を抑える方法として、金属以外の素材への変更を検討するのもひとつの選択肢です。
たとえば、セラミックやレジンなどの非金属素材は、熱の伝わり方が穏やかで、神経への刺激が少なく済みます。
白い素材のため、自然な見た目になる点もメリットです。
根管治療後の再感染や違和感
根管治療を受けた歯に違和感や痛みが現れた場合、それは内部での再感染が原因となっている可能性があります。
このような場合には、再根管治療と呼ばれる処置を行います。すでに詰められた薬剤やかぶせ物を一度取り除き、改めて根管内を消毒・洗浄し、再び密封する治療です。
これでも症状が改善しない場合には、外科的に根の先を切除する「歯根端切除術」が必要になることもあります。
セルフケアで気をつけたいこと

歯がしみる症状を和らげるためには、日々のセルフケアも欠かせません。
まず、歯磨きの力が強すぎたり、硬い歯ブラシを使っていたりすると、歯肉が下がってしまい、象牙質が露出しやすくなります。
やわらかめの歯ブラシを使い、やさしく丁寧に磨くことを心がけましょう。
歯ぎしりの癖がある方は、就寝時にマウスピースを装着することで歯への負担を減らすことができます。
歯に過度な力がかかるとヒビが入りやすくなるため、気になる方は歯科医院に相談してみましょう。
まとめ

熱いもので歯がしみる症状は、軽く考えて放置してしまうとトラブルに発展することもあります。
虫歯や歯周病、歯のヒビなど、いずれも進行性のものが多いため、少しでも違和感を覚えたら早めに歯科医院を受診することが大切です。
記事監修:歯周病学会認定医 歯科医師 深澤智人
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