湾曲根管とは?リスクや治療の注意点を解説
2025/12/20
こんにちは、国立駅徒歩3分の歯医者、国立深澤歯科クリニックです。
根管治療は、虫歯が深く進行し歯の神経に達した場合に行われる治療です。
しかし、すべての根管が同じ形状をしているわけではありません。
中には複雑に曲がった形状を持つ「湾曲根管」と呼ばれる根管もあり、治療後のリスクを軽減するためにはさまざまな配慮が必要になります。
今回は、湾曲根管の概要や治療時のリスク、トラブルを防ぐためのポイントを解説します。
湾曲根管とは
歯の根の中には、神経や血管が通る「根管」という細い管があります。
この根管は、まっすぐなものもあれば、S字やC字のように曲がっているものもあり、こうした曲がった根管を「湾曲根管」と呼びます。
曲がり方には個人差があり、ゆるやかなものから複雑にねじれたものまでさまざまです。
また湾曲根管は、特に下あごや上あごの奥歯で見られることが多い傾向があります。
湾曲根管は、生まれつきの形態や歯の発育過程、噛む力、外傷などが関係して生じます。
健康に直接の問題はありませんが、虫歯や外傷で神経が損傷した場合には、根管治療が難しくなるという難点があります。
湾曲根管のリスク
器具が折れる可能性
根管が曲がっていると、治療で使う細い器具に力がかかりやすく、折れてしまうことがあります。
器具が折れると、感染した組織をすべて取り除くのが難しくなり、場合によっては、折れた器具を取り除くために追加の処置が必要になります。
治療が長引く可能性
根管が曲がっている場合、処置が複雑になり、治療回数が通常より多くなることがあります。
治療期間が長くなると、仮の詰め物が外れやすくなったり、すき間から細菌が入り込んだりすることで、再感染のリスクが高まります。
感染が残る可能性
根管が曲がっている場合、器具が届かない部分が生じることがあります。
その結果、治療後も感染した組織が一部残ってしまい、これが痛みや腫れの長期化、症状の再発につながることがあります。
根管をしっかり塞げないリスク
根管治療のあとは、薬剤や詰め物をすき間なく詰めて密閉することが重要です。
ところが、根の形が曲がっていると薬剤が均一に行き渡らず、わずかなすき間が生じることがあります。
その部分に細菌が入り込むと、治療後に再び炎症が起こる恐れがあります。
湾曲根管の根管治療の注意点
湾曲した根の治療は、通常の根管治療よりも難易度が高く、慎重な対応が求められます。
そのため、治療を受ける際は、歯科医院の選び方も重要になります。
根管治療の経験が十分にあり、マイクロスコープや歯科用CTなどの設備が整っている歯科医院を選ぶようにしましょう。
また、治療前には、全身の状態や既往歴、服用中の薬を歯科医師に伝えておくことが大切です。
糖尿病や心臓病などの持病がある場合や、抗血小板薬や抗凝固薬を使用している場合は、治療に影響することがあります。
過去の治療で痛みや不快感が強かった場合も、あらかじめ伝えておくと、麻酔や処置の方法をより自分に合った形に調整してもらいやすくなります。
虫歯の再発を防ぐためのポイント
日々のデンタルケア
治療を終えた歯を長く保つためには、毎日の丁寧なデンタルケアが欠かせません。
治療した歯のまわりや歯ぐきと歯の境目などは汚れがたまりやすいため、そのほかの箇所以上に丁寧に歯磨きをするようにしましょう。
やわらかめの歯ブラシや小さめのヘッドの歯ブラシ、電動歯ブラシを選ぶと、細かい部分まで磨きやすくなります。
歯ブラシは長く使うと歯垢除去の効率が落ちるため、1〜2か月を目安に交換するようにしてください。
また、歯間はデンタルフロスや歯間ブラシで清掃し、詰め物やかぶせ物のまわりに残る汚れも丁寧に取り除くようにしましょう。
抗菌作用のあるマウスウォッシュを併用すると、ブラッシングでは届きにくい部分の細菌を減らしやすくなります。
ブラッシングは食後30分以内が目安ですが、酸性の飲食物をとったあとは少し時間を置いてから磨くと、酸によって一時的に弱くなった歯を傷つけずにケアできます。
生活習慣の改善
根管治療後の歯を長く健康に保つためには、日々の生活習慣に気をつけることが大切です。
間食や甘い飲み物の摂取は虫歯の再発リスクを高めるため、回数を減らすようにしましょう。
間食をゼロにする必要はありませんが、食後には歯磨きやうがいをして口内に糖分が残らないようにしてください。
過度なアルコール摂取も口腔内を乾燥させ、虫歯リスクを高めるため控えめにしましょう。
また、睡眠や休息も歯の健康に深く関わります。
規則正しい睡眠は免疫力を維持し、歯への負担や感染リスクを軽減しますが、反対にストレスが続くと歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなり、治療した歯に余計な負担がかかることがあります。
定期的な歯科医院の受診
口内の健康維持のためには、定期的に歯科医院で診てもらうことも大切です。
セルフケアだけでは口腔内のすべての汚れを取り除くことは難しく、また、虫歯ができた場合も自覚症状が出てくるのはある程度進行してからです。
歯科医院でのチェックやクリーニングを定期的に受けておくことが、トラブルの予防と、早い段階での処置につながります。
定期検診では、治療した歯だけでなく、その周囲の歯ぐきやかみ合わせの状態も丁寧に確認します。
症状や検査結果に応じてレントゲンや歯科用CTで根の状態を詳しく確認することで、症状が悪化する前に対処することができます。
また、歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングでは、日々のブラッシングでは落としきれない歯石や着色を取り除くことが可能です。
まとめ
湾曲根管とは、複雑に曲がった歯の根の管のことです。
湾曲根管の根管治療には、器具の破折や根管穿孔などのリスクがありますが、歯科用CT検査やマイクロスコープを用いた精密な治療によって、こうしたリスクを減らすことができます。
ただし、複雑な形状をしている根管治療には、再発のリスクもあります。
治療後は、毎日の丁寧な歯磨きやフロッシング、食生活や喫煙習慣の改善、定期的な歯科医院の受診が欠かせません。
セルフケアと定期的な歯科医院でのチェック、メンテナンスで、一本でも多くの歯を守っていきましょう。
記事監修:歯周病学会認定医 歯科医師 深澤智人
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